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第3回Women&Work交流会~関西から女性活躍のMovementを~を開催しました

5月10日、西日本旅客鉄道株式会社執行役員 多田真規子様をお迎えし、第3回Women&Work交流会~関西から女性活躍のMovementを~を開催しました。キャリア女性13名が参加し、多田様のこれまでのキャリアの経験や、「女性が働く機会が増えることにより、その組織経験が事業目的達成の後押しになる」
というお話に共感していました。毎回定員10名~15名程度で開催しています。次回は7~8月頃、開催予定です。お問い合わせはNPO法人女性と仕事研究所 info@women-work.orgまで。

関西の企業で働く「キャリア女性インタビューNO.7」~関西ウーマン同時公開!~

片岡 詳子さん
株式会社ユー・エス・ジェイ 法務部長/弁護士
同志社大学法学部法律学科卒 1995年司法試験合格 個人法律事務所勤務を経て2001年松下電器産業(現パナソニック)株式会社 法務本部、2007年株式会社ファーストリテイリング 法務部リーダー、2012年より現職。2006年日本組織内弁護士協会理事 関西支部長、2010年4から2012年まで同理事長就任。主な著書:「インハウスローヤーの時代」(日本評論社)共著「女性弁護士の歩み」(明石書店)共著「企業内弁護士」(商事法務)共著「インハウスローヤーの時代」(自由と正義論考 日本弁護士連合会)


株式会社ユー・エス・ジェイ https://www.usj.co.jp/company/

現在の業務内容について教えてください。
ユニバーサル・スタジオ・ジャパンに関する法務全般です。テーマパークの法務部門というと、「ゲストのクレームやトラブル処理ですか?」とよく聞かれますが、現場の対応力が高いので、その種の業務が法務部に持ち込まれることは意外に少ないです。

分かりやすい例としては、新規のライドアトラクションを導入する場合、コンテンツの保有者とのライセンス契約、アトラクション建設のための建築請負契約、ライドのメーカーとの売買契約、関連グッズの仕入契約などの書類作成やレビューが主要な業務の一つです。その他、ここ数年活発に行われている資本再構成に関わる取引(いわゆるM&A)に関する契約上、あるいは機関決定(株主総会・取締役会決議)のサポート業務も行っています。

ヘッドハンティングによって転職されましたが、ユー・エス・ジェイを選ばれたきっかけは?
以前は、パナソニックの法務本部、その後はファーストリテイリングで法務部のチームリーダーというポジションで働いていましたが、いつかは全責任を担う立場で、法務部の人材もナレッジも全てを背負って働いてみたいと考えていました。

前職では東京勤務でしたが、当時、大阪の実家の事情で、大阪に帰りたいと希望していたんです。でも、特に関西圏となると、法務部長のポジションはそう簡単に「空き」が見つかるものではありません。そこにエージェント(ヘッドハンター)から、ユー・エス・ジェイが法務部長を探しているというお話を頂いて、願ってもないチャンスだと思い、転職を決めました。もちろん、ユー・エス・ジェイの知名度や、テーマパークという夢のある事業への興味も動機の一つでした。

これは入社後に実感したことですが、事業の「現場」がものすごく近い。私はパークの地下にあるオフィスで働いていますので、日々の業務の成果がすぐ頭の上に表れることになります。会社の規模感も大きすぎず小さすぎずで、社長をはじめとする経営陣の顔が直接見える職場。逆に「そこそこ」ではいられない厳しさもあり、仕事のやりがいをとても感じます。

御社としては、初の女性の法務部長だそうですね。
ユー・エス・ジェイの女性管理職比率は、社内での育成・登用とともに、女性幹部候補の公募を実施するなど、外部人材の積極的な採用も進められ、2015年度には21.7%までに上昇しています。私の場合も、前任の方が監査役に退かれるにあたり、次の法務部長は女性を採用しようというトップの明確な方針があったそうですから、まさに女性活躍推進活用事例のひとつといえますね。

また、国際的なエンターテインメント企業として、女性はもちろんのこと、LGBTの方々や、様々な国籍・人種の人材が入り混じって仕事をしています。障害者雇用の取組も先進的で、経営陣から現場のスタッフに至るまで、多様性を尊重し、異なる感性を活用しようという意識がいきわたっています。なので、働きにくさを感じたことは一度もありません。

また、法務は専門職ですから、男女関係なく、純粋に知識、経験で勝負しやすいポジションの1つ。女性が戦いやすい土俵だと思います。

法律事務所と企業内弁護士との違いに戸惑われた経験もあったと伺いました。
法律事務所の場合、それが100人200人の事務所であっても、結局は弁護士1人ひとりが個人事業主。自分が正しいと思う意見を述べるだけですが、企業内で働く以上、組織として意思決定しなければいけません。私の意見というより、法務部としての意見を求められる、という違いがあります。

法律の解釈はすごく幅があるんです。その幅の中で何を選ぶかというのは、会社としてのスタンスや歴史にも関わりますので、その判断材料が自分の中にどのくらいあるかによって異なってくるんです。

その違いは、パナソニックに入るまでは分かりませんでした。最初の頃は、「弁護士だから、入れば何か仕事ができるだろう」と思っていましたが、実際はその違いに気付かされる日々。法律的には間違っていないけれども、会社や法務部の回答としては適切でない、ということが何回かありました。大きな壁にぶつかっては、怒られたり、呆れられたり。「私、これじゃいけない」と思い直すうち、いつのまにか慣れてくるようになりました。

「壁」によってどんなことを学ばれましたか?
やはり転職した当初、新しい職場で業務のノウハウや社内人脈も不十分ですから、自分の存在感をアピールしたい気持ちがあるにも拘らず、思ったような成果が出せなかったり、とんちんかんな対応をしてしまったりと、ひどく落ち込み、焦りを感じました。

わからなければ、「わからない」と素直に言えば良いのに、言えずに答えた結果、失敗するという。転職でなくても昇格した人もそうだと思いますが、それなりの価値を出さなくちゃと焦ってしまうんだと思います。そういう時って分かっているけど、ついつい前のめりしすぎてしまう。

私の場合、パナソニック、ファーストリテイリング、ユー・エス・ジェイと3度も似たような経験を繰り返しましたので、かなりしっかり学びました(笑)。決して功を急いではいけない。目に見える成果を出したくて焦るのは、他人の評価を求めているから。結局それは自分のため、自己中心的な発想であると自覚しました。

自分の仕事を誠実に、精一杯すれば、いつか必ず評価につながる。それだけの経験は積んできたはず、と自分を信じること。「人の役に立ちたくてこの仕事を選んだはず」という原点に立ち返り、長く働いて長く貢献するんだという気持ちで、業務に取組むことが大事だと考えています。

将来どんな展望をお持ちですか?
私は企業で働く弁護士がまだ全国に数十人しかいなかった(関西ではわずか二人だった)時代にパナソニックに入りました。その後、企業内弁護士は増加の一途をたどり、2015年12月末時点では1500人を超え、その40%が女性という活況ぶりです。(弁護士全体に占める女性の割合は18.2%)

自分自身が「はしり」ですから、私の前に道はありません。なので、企業内弁護士の、特に女性企業内弁護士の、いいロールモデルになることを心掛け、いい会社で、いい仕事をして、いい経験を積み、キャリアアップしていきたいと思っています。そして、企業で働く限りはいつか退職の日が訪れるので、そうしたら法律事務所を持って一国一城の主になりたいです。

働く女性に向けてメッセージをいただけますか。
長く働いて長く貢献するんだという気持ちで、腰を落ち着けて、業務に取り込むことが大事だと思います。 ライフイベントや、さまざまな事情で、思うように成果が出せないことは誰にもあります。でも、年度末の評価だけを気にする場合と、10年・20年・30年この会社で働いてトータルでどれだけ貢献できるかを考える場合とでは、おのずと心構えが異なってくるのではないでしょうか。 焦りを感じたら、「定年までに取り戻そう」くらいに切り替えて、仕事を楽しむのがいいと思います。
ありがとうございました。

(取材:2016年3月/所属・役職名等は取材時のものです)

 

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interviewer
諸田 智美
特定非営利活動法人 女性と仕事研究所 代表理事
佐賀大学卒業後、1987年大手SI会社に入社。SEとして金融情報系システムプロジェクトに従事。退職後、キャリアチェンジにより、マンションリフォーム企画営業を6年、パソコンスクール責任者を6年経験。2006年1月㈱ネットラーニング入社後、2009年11月グループ会社㈱wiwiwへ。2014年4月まで、カスタマーセンター長として大規模セミナー企画・運営、広報等を担当。2014年2月に「男女ともにキャリアと育児の両立を実現するためのシンポジウム」を企画・運営。大阪では、2013年11月に第4回女性活躍推進フォーラムの企画・運営を担当。2014年5月から現職。
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