No.26 文化や国境、ジェンダー、企業、大学、行政といったあらゆる「異なり」を受け入れ生かすことで「越境」する、そんな日本社会を創りたい|特定非営利活動法人 女性と仕事研究所

SDGsでキラリ輝く大阪をつくる女性たち

No.26 文化や国境、ジェンダー、企業、大学、行政といったあらゆる「異なり」を受け入れ生かすことで「越境」する、そんな日本社会を創りたい

2021年03月13日

池田 佳子(いけだ けいこ)さん
関西大学国際部教授(第5回大阪サクヤヒメ表彰 大阪サクヤヒメ賞)

ハワイ大学マノア校で博士号(Ph.D.)およびAdvanced Certification in TESOL (Dept of Second Language Studies)を取得。2005年トロント大学講師、 2006-2008年名古屋大学講師、助教授を経て、2009年より関西大学。現在国際部教授。グローバル教育イノベーション推進機構(IlGE)副機構長(2019年現在)。専門は国際教育、 日本語教育、 外国語教育、 相互行為分析研究。政治コミュニケーション研究、ヒューマン・ロポット・インタラクション研究、聴衆分析などを手掛ける。ハワイで始めた世界の日系人コミュニティーの調査も継続している。文部科学省委託事業・留学生就職促進プログラム「SUCCESS-Osaka事業 (2017-2021)」および世界展開力強化事業「グローバル ・ キャリアマインドを培うCOIL Plusプログラム(2018-2022)」の実施主担当を務める。


現在のお仕事の内容をお聞かせください。

本学国際部教授およびKU-COILコーディネーター。「グローバル・キャリアマインドを培うCOIL Plusプログラム」の主任プロジェクトマネージャーであり、グローバル教育イノベーション推進機構(IIGE)の副機構長を務めています。国際教育分野における研究は、大学キャンパスでの国際化であり、海外の大学と共同で実施する学習プログラムを構築しています。現在、「グローバル・キャリアマインドを培うCOIL Plusプログラム」の他に、文部科学省委託事業:SUCCESS-Osaka(留学生の就職促進プログラム)2017-2021プロジェクトも担当し、日本で勉強した留学生の雇用促進に取り組んでいます。

お仕事以外で、何か活動(趣味、地域活動など)をしていらっしゃいますか?

自身の一般社団法人Transcend-Learningを2020年に設置し、留学生支援を大学外でも行っています。また、同年より、大阪中小企業投資株式会社の社外取締役として参加をさせていただいています。

これまでの人生を振り返ってみて、困難はありましたか?また、どうやってその困難を乗り越えられましたか?

15歳で単独海外留学をスタートし、博士号取得までの15年間、そしてその後の海外での勤務は、楽しいことも多くありましたが、困難も多かったです。当初はなれない言語で高校・大学での学位をおさめる上で苦難したこともあります。異文化での生活は、苦しい時期もありますが、そこで今につながる順応性、国際性がアイデンティティの1部となる結果にもつながっているので、とん挫したりせず人生を突き進んだことで「乗り越えた」といえるかもしれません。
2001年の同時多発テロ事件の時にも、アメリカにいましたので、その際の大きなアメリカや世界の変化を目の当たりにし、私自身も多くを考えさせられました。プライベートでは、海外滞在中、まだ私が30代前半のころ、父が亡くなりました。ちょうど、カナダのトロント大学で教鞭を取っており、急でしたので、最後に電話で話すことしかできなかったことが悔やまれます。海外での留学人生を自ら選択したときには猛反対した父でしたが、十数年立った最後には、その決断と成果を評価してくれました。背中を押してもらって、現在の活動も、これからも新しい挑戦も取り掛かることができていると思います。

SDGsに興味をもったきっかけは?

教育のインクルーシブな提供、を考え出した時に、SDGsそれからESDに関心を持ちました。また、大阪の万博誘致のころから、本学をはじめ企業でもSDGsは多く情報が届くようになったので、SDGsについて教育できる、波及できる側として動くことができるよう、トレーニング等を受ける機会もいただきました。

ご自身のお仕事や生活の中でSDGsをどのようにとらえていますか?

事業や生活の中のさまざまな「選択」の際の根拠、軸となっています。多くの選択肢の中で、あえてこだわって選ぶ理由は、SDGsの達成に貢献できるかどうか。目の前の短期的な利益に走るのではなく、長期的なメリットを考えるときにも、SDGsは非常に思考をサポートしてくれていると思っています。Society 5.0は、SDGsの達成によって実現します。そういう意味でも、意識しなくても日常に入ってくる思考、行動、そして社会でなくてはならないと考えています。

大阪・関西の女性がキラリ輝くために、何が必要と思いますか?

様々なかたちの「輝き方」があると思いますので、リーダーシップをとり、いわゆる経営層やシニアマネジメント層にいる方々だけではなく多様な切り口の「輝き」をうまく見せる、見える可する必要があると思います。多くが自薦・他薦で前に出てくる人たちのことがストーリーになるわけですが、それではこの多様な輝き、はおそらく偏りが残ると思うのです。面白い切り口視点で物事を見て、輝く人を見つけてくるぐらいの活動も並行してなされるといいと思います。ご自身で輝きに気が付いていない女性も多いのではないでしょうか。

さいごに、大阪・関西の女性にメッセージをお願いいたします。

大阪の女性はそもそも社会との接点を多く持ち生活している方が多いというのが私の印象です。すでに社会インフラの重要な役目を担っています。そのネットワークスキルや能力を、また新しい分野でもさらに発揮できるかもしれません。社会が流動的になるということは、従来の規範も変わるというということです。今よりもさらに可能性が広がる中で、何ができるか、ご一緒にワクワクしながら「創造」したいと思います。

ありがとうございました。

(取材:2021年02月/所属・役職名等は取材時のものです)

メールでのお問い合わせ
お問い合わせ