New!No.41 一つ一つの命が輝く社会を目指して|特定非営利活動法人 女性と仕事研究所

SDGsでキラリ輝く大阪をつくる女性たち

New!No.41 一つ一つの命が輝く社会を目指して

2025年08月01日

森崎 博実(もりさき ひろみ)さん
シスメックス株式会社 経営企画室(大阪サクヤヒメSDGs研究会メンバー)

【プロフィール】
1998年 博士(理学)取得
1998年 University of Alaska, Southeast  Visiting Scientist
1998年 独立行政法人国立環境研究所 環境健康部 科学技術特別研究員
2000年 北里大学薬学部 公衆衛生学教室 助手
2004年 University of Cambridge Centre for Brain Reapir 研究員
2005年 独立行政法人理化学研究所 発生再生科学総合研究センター 研究員
この期間に第1子出産
2010年 シスメックス株式会社 中央研究所 研究員
2011年  同上 UB-PE商品開発部
この期間に 第2子出産
2013年       係長昇格
2016年       課長昇格
2017年  同上 臨床開発部 課長
2019年       部長昇格
2024年  同上 経営企画室 部長

【表彰】
日本サイトメトリー学会 平成26年度 学術奨励賞 最優秀論文賞
第58回日本臨床細胞学会総会 平成29年度 国際シンポジウム Best Poster Award


現在のお仕事の内容をお聞かせください。

現在の会社に入社後は、子宮頸がんの診断支援システム開発チームの一員として、商品開発・市場開発に携わりました。その後、臨床開発部門に異動し、当社製品の各国市場導入を担当してまいりました。
2024年度より、経営企画室部長として、経営戦略策定や予算編成、経営会議や役員会の運営を行うとともに、サステナビリティ経営を目指して活動中です。
業務と並行して、女性の健康課題をテーマに、働きやすさと新規事業開拓に向けて、社内有志メンバー共にフェムテックの活動も行っています。
一人一人がパフォーマンスを発揮し、活き活きと働ける会社と社会つくりへの貢献を、日々目指しています。

お仕事以外で、何か活動(趣味、地域活動など)をしていらっしゃいますか?

ふるさと長崎の活性化のため、関西長崎県人会、関西佐世保会の理事として活動しています。幅広い年齢の方々との交流では刺激や学びが多く、故郷の新しい面の再発見にもつながっています。
また最近は、サクヤヒメSDGs研究会の皆様と共に、女性活躍支援にも取り組んでいます。
今年度からは、女性の健康課題解決の一環として、キャリアコンサルタントの勉強も始めました。
さらに、経営塾など社外研修で学んだ仲間たちと共に、オフサイトミーティングを開き情報交換しています。

これまでの人生を振り返ってみて、困難はありましたか?また、どうやってその困難を乗り越えられましたか?

生化学分野で博士の学位を取得したのち、環境と人の健康に貢献することを軸として、職業人生を始めました。その時、どんな国のどんな人とでも一緒に仕事をして成果を出していけるよう、3年に1回転職すること、40歳になったら一つ所に落ち着いて定年まで仕事をすることを決め、ほぼその通りにしてきました。新しい職場で環境が変わると、人間関係を一から構築していくことになるので、環境に慣れないとパフォーマンスが発揮できずに悩むことも多くありました。ただ、よく考え「前悔」して自分で選択した道だったので、「後悔」はなく、失敗しても爽やかだと思いながら過ごしていました。
キャリアを続けていく時に一番変化があったのは子供が生まれた時です。子育てにはそれまでの自分の経験が一切通用せず、自由な時間は全くなくなり、半泣きで職場と家庭を往復していました。ただ、ご近所や幼稚園の先生方、ベビーシッターの方など周囲の皆様に支えられ、子供達は徐々に大きくなり、少しずつ自分のペースもできてきて、家族との時間を楽しめるようになってきました。
困難を乗り越えることは容易ではなかったですが、これからも喜びを爆発させて生きることで、ダメな自分を乗り越えて、ムクムクと勇気を得ながら生きていきたいと考えています。

エクアドルのジャングルでの野生生物調査時(現地の子供たちと)

SDGsに興味をもったきっかけは?

学生時代に実験動物を多く扱う中で、命の研究を行っているのに命を奪うことの矛盾に悩んでいました。このため、学位を取得後は、生命を地球全体として捉え、地球に貢献できる環境研究を志しました。
2015年に国連サミットでSDGsが採択されたときには、自分の研究にもつながるのだなあと本当に嬉しかったことを覚えています。

ご自身のお仕事や生活の中でSDGsをどのようにとらえていますか?

SDGsは、私のキャリアや生活の一部ととらえています。
環境研究を志してからは様々な出会いがありました。滋賀県の山中でイヌワシの保護に取り組んでおられる写真家、水俣病の研究に携わる方々。環境問題に携わる中で、環境を保護する側の視点、開発を進める側の視点など、絶対的な善悪で判断ができない複雑さ・難しさを学んできました。これらの問題には、関わった者の責任として、自身の一生の問題として捉えていきたいと考えています。
現在の職場を定年退職後は、子供たちも自立していく時期ですので、また環境研究に戻りたいと考えています。
合わせて、これまでの管理職で得られた経験から、女性や留学生のキャリア支援にも取り組んでいきたいと考えています。

大阪・関西の女性がキラリ輝くために、何が必要と思いますか?

今年は万博の年で、様々な国の方が関西に来られます。
この機会を活かし、各国との交流を広げ・深められるよう、関西のエネルギーやオープンな明るさを活かして、躊躇せずどんどん外に出ていくことが重要と思います。

フェムテックのメンバーと

さいごに、大阪・関西の女性にメッセージをお願いいたします。

私は、サクヤヒメSDGs研究会の方々との交流を通じて、様々な場で活躍される女性に出会え、勇気と元気をいただいています。
世界のどこかに仲間がいて、一人ではないことに気づけば、肩の力を抜いて、楽しめる場面が増えてくると思います。
岡本太郎に学び、喜びを「爆発」させながら生きましょう。

ありがとうございました。

(取材:2025年07月/所属・役職名等は取材時のものです)

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