No.15 SDGsで世界中の女性が輝くことをめざします!|特定非営利活動法人 女性と仕事研究所

SDGsでキラリ輝く大阪をつくる女性たち

No.15 SDGsで世界中の女性が輝くことをめざします!

2020年08月01日

瀬戸口 恵美子(せとぐち えみこ)さん
公益財団法人 太平洋人材交流センター(PREX) 国際交流部(大阪サクヤヒメSDGs研究会ジェンダー部会メンバー)

1991年 大阪外国語大学 インドパキスタン語学科ウルドゥー語専攻卒、財団法人 太平洋人材交流センター(当時)入局。総務部を経て研修部へ異動。中央アジア(旧ソ連)地域対象のマーケティング、企業経営、経済団体運営に関する研修、ベトナムをはじめとしたアジア地域の経営者を対象としたビジネス実務研修、同窓会対象のフォローアップ研修  などを担当。
2005年 結婚
2008年 出産、育児休業取得
2009年 復帰、短時間勤務(半年)
2013年より 国際交流部長。日本企業で働くべトナム人社員を対象としたリーダー育成研修の企画・立ち上げを担当。APIR「アジアの知日産業人材との戦略的ネットワーク構築」研究にリサーチャーとして参画。クレオ大阪中央との連携事業「上本町SDGs大学」の企画・立ち上げを担当。


現在のお仕事の内容をお聞かせください。

PREXは途上国のよりよい発展に貢献するため、各国の行政官や企業経営者を対象とした研修事業の実施、また研修を通じた関西の国際的な人の交流促進を主な事業としています。最近は、日本で学ぶ留学生や日本の企業で働く外国人社員の皆さんを対象にした人材育成事業も行っています。
研修のテーマは、企業経営、リーダー育成、中小企業振興政策、地場産業振興政策、投資促進政策などが中心です。
私は、国際交流部という研修や交流事業を実施する部署の責任者として、事業の推進を担当しています。
小さな組織なので、それ以外にもいろいろな仕事をしています。
新しい事業の方向性について検討したり、それに基づいて、新しいプロジェクトを立ち上げて実行したり、また、実際に研修事業を担当することもあります。研修を実施する際には、カリキュラムの作成からプログラムの実施までを一つのチームで一貫して担当します。
1990年に設立されたPREXにとって、2020年は30周年に当たります。これから10年間の目指すべき方向を1年かけて議論し、今年4月に「PREXビジョン2030」として発表しました。現在はその達成をめざし職員で力を合わせて取り組んでいます。

お仕事以外で、何か活動(趣味、地域活動など)をしていらっしゃいますか?

仕事と趣味が一体となっているところもあります。
世界の国の文化や生活・社会について知ることが好きなので、本屋さんや図書館にいくと、ついつい世界各国の地域に関する本のコーナーをチェックして、新しい本を探しています。
20~30才代の頃は、世界中を旅したいと思っていたのですが、仕事でロシアや中央アジア各国を中心に「普通では」訪問できない地域に行く機会も多く、それはとても刺激的で貴重な体験となりました。
そのため、これから時間に余裕ができたら、家族も一緒に旅行して、日本と異なる国について、人々の暮らしや社会の様子を見てもらいたいと思っています。
そして、仕事を通じて扉が開いた「中央アジア」ですが、今では人生のテーマとしてずっと関わっていくのだろうと思っています。
中央アジアをもっと関西の皆さんに知ってもらうための活動や、それに必要な情報収集なども継続していきます。

これまでの人生を振り返ってみて、困難はありましたか?また、どうやってその困難を乗り越えられましたか?

困ったことに、過ぎたことはすぐに忘れてしまうので、困難だったこともほとんど覚えていないのですが、出産後、1年間の育児休業期間と、復帰後しばらくは今思えば辛い時期でした。出産後1年間は一人で育児と家事を担っていたのですが、赤ちゃんと二人きりの時間、睡眠が満足に取れない状態は、心身ともに疲労していたと思います。そして復帰後は、育児、家事を夫と分担はしていましたが、ちゃんとやり切らないと、という思いでいっぱいいっぱいになって、夫とも衝突することもありました。その後、私自身が体調を崩したのですが、その原因が分からず、病院に通った日々は不安で一杯でした。
その後、職場の近くに引っ越し、通勤を楽にしたり、家事や育児も夫と完全に分担にしたり、子育ては保育所の先生にある程度任せてしまおう、と自分の荷物を減らすことで、だいぶん楽になったと思います。
今では子供も小学6年生となり、全く手もかかりませんし、あの一時期の大変さもいつの間にか忘れていました。
この経験から、大変な時こそ、家族とはできるだけ思っていることや気になっていることについて、きちんと話し合いをし、自分ひとりで抱え込まないようにしています。

SDGsに興味をもったきっかけは?

PREXは、設立以来、途上国の課題解決に貢献できるような人材育成事業を実施しており、SDGsが生まれる前からよりよい世界を目指して取り組んできました。
しかし、私自身がより明確にSDGsを意識したきっかけは、2016年度に見た、ニュース番組(ワールドビジネスサテライト)です。そこでは、日本の大企業がSDGsを自社のビジネスの中に位置づけて取り組もうとしている、という話題が紹介されていました。
SDGsの達成には民間企業の参画が不可欠で、また途上国に限定せず、日本など先進国も含め17のゴールの達成を目指す、という点が特徴です。従来、特に途上国の課題解決に取り組む主たるアクターはODA(政府開発援助)に関わっている組織が中心でしたが、SDGsという「共通言語」をもつことで、世界の課題の解決だけでなく、よりよい地域社会の在り方について、様々なアクターが共に考えられる、その点がとても素晴らしいと思いました。
その後、PREXでもSDGsを学ぶ機会や、取り組み計画などの検討を進め、ビジョンの中に位置づけることができました。

ご自身のお仕事や生活の中でSDGsをどのようにとらえていますか?

今では組織の今後10年間の目標(ビジョン)もSDGsと深くかかわる内容ですので、仕事そのものがSDGs抜きには考えられないものとなりました。元来、生活も仕事と深く関連した場所にあると思っているので、生活でもSDGsが大事な軸のひとつとなっていると思います。
環境について、生活や福祉について、経済との両立について、自分がどういう風に関われば、全ての課題によりよい結果をもたらせるのか、という風にSDGs「レンズ」を通して物事を見ると、多面的に考えられますし、いろんな立場の人とも将来志向で話ができると思っています。
17のゴールをバランスよくアプローチすることは、難しさもあるかもしれませんが、子どもたちの世代が少しでも世界がハッピーであってほしい、という思いをもって、暮らしや仕事を考えるフレームワークとしてSDGsは活用できるのではないでしょうか。

大阪・関西の女性がキラリ輝くために、何が必要と思いますか?

仕事柄、途上国で活躍する多くの女性たちと出会う機会は多いのですが、いずれの国も、日本に比べると、様々な面で制度や条件が整っていない国が多い中、逞しく将来を見据えて自分の役割を見つけ活躍している女性がたくさんいると思います。
もちろん、女性が活躍できる環境が整っている国もあると思いますが、そうでない国もたくさんあります。
しかし、性別ではなく個人として持っている力を社会のために生かそう、自分が先駆者となってチャレンジしよう、自分の考えや大事だと思うことはしっかり発言しよう、という方がとても多いのは共通していると思います。
SDGsも一人ひとりが自分事として行動し、発信することが大切だと言われていますが、一人ひとりが社会や地域のために、自分自身が持っているものやできることを活用する、また大事だと思うことは発言することで、貢献できる、輝ける場はたくさんあるのではないかと思います!

さいごに、大阪・関西の女性にメッセージをお願いいたします。

サクヤヒメの皆さんと出会って、自分がこれまでに出会わなかったような、異なる業界やキャリアの女性たちと出会い、ともに活動ができることは、私自身にとって、とても貴重な機会になっています。
ぜひ、サクヤヒメのイベントやセミナーで、いろんな経験をもつ女性たちとの出会いや繋がりを作っていただけたらと思います。
大阪・関西の女性たちのネットワークが、活躍できる場の拡がりにもつながるはずです!

ありがとうございました。

(取材:2020年07月/所属・役職名等は取材時のものです)

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