No.33 職業人、家庭人、地域人の三面性を大切に|特定非営利活動法人 女性と仕事研究所

SDGsでキラリ輝く大阪をつくる女性たち

No.33 職業人、家庭人、地域人の三面性を大切に

2022年02月28日

渡辺 幸代(わたなべ さちよ)さん
南海電気鉄道株式会社 社長室 ブランド統括部
(大阪サクヤヒメSDGs研究会まちづくり部会メンバー)

南海電気鉄道ブランド統括部長

筑波大学卒。1992年グンゼ株式会社に入社。東京で営業を担当後、1998年に大阪に転勤しストッキングの商品企画を担当。2001年、神田うのさんプロデュースのストッキング「Tuche うのコレクション」の企画を担当しヒット商品に導く。
その後、育児休業を経て2009年より広報を担当。同社の幅広い製品のPRを担当するとともに、コーポレートブランド向上プロジェクト、女性きらきらプロジェクトのメンバーとして、無形資産の価値向上に携わる。
2016年、再び東京に転勤し、お客様相談室業務に従事。小学校低学年の子供を伴っての赴任を経験。
2018年1月南海電気鉄道入社。南海グループのブランド向上や広告宣伝の統括責任者を務める。
2020年サクヤヒメ活躍賞を受賞。


現在のお仕事の内容をお聞かせください。

南海電鉄でコーポレートブランドの統括責任者を務めています。
コーポレートブランド価値を向上するためには、まず社員が自社のブランドに愛着や誇りを持つことが重要だとの意識から、インターナル・ブランディングに注力し、従業員のコミュニケーション活性化、モチベーション向上、プライドの醸成の3つをコンセプトに「なごみときめき活動」を行っています。そのうちのひとつが「‘なんかいいね’カード」、いわゆるグッドジョブカードで、社員同士で感謝の気持ちを伝えたり、良い仕事をしたときに「いいね!」と讃え合えるカードです。
鉄道の現業職場でやりとりされているカードを見ると、「仕事の合間に、掃除用のおがくずを小袋に詰め替えてくれてありがとう」というカードに、お客さまに快適な環境を提供するために、現業には細かな業務がたくさんあることに気づかされますし、「車内の忘れ物を届けてくれてありがとう。捜索依頼を受けていたのですが発見することができなかった品でした。お客さまも大変喜ばれていると思います。」といった内容に、一人ひとりの働きがお客さま満足につながっていることを実感します。
このようなコミュニケーションが、仕事へのモチベーションになり、社員一人ひとりが自分の業務にプライドを持って取り組むことで、ブランドスローガン「‘なんかいいね’があふれてる」の実現に繋がっていくと信じています。

お仕事以外で、何か活動(趣味、地域活動など)をしていらっしゃいますか?

会社から泉南の砂浜掃除のボランティアに参加し、小さなプラスチックごみの多さに驚愕しました。同時期に、チワワを飼い始めたこともあり、朝晩の散歩時にごみ拾いをするようになりました。住んでいる自治体がゴミ拾いアプリの運用を始めたのをきっかけに、アプリで拾ったごみの写真をアップしています。
また、地域の公園の花壇づくりのボランティアにも参加しています。数か月に一度1時間程度、地域の子どもたちやお年寄りと一緒に花苗を植え替える活動ですが、フルタイムで仕事をしているからこそ、こうした活動で地域の方々と交流する機会を大切にしたいと思います。
ワークライフバランスを模索していたときに出会った本に、これからの社会では「職業人、家庭人、地域人」の一人3役をこなすことが重要であり、その3か所に居場所をつくることは個人にとっても大切だという記述があり、強く共感しました。当時は地域人としての活動をする余裕は全くなかったのですが、子どもの成長とともに地域人としての時間が少しずつ取れるようになりました。職業人、家庭人、地域人のバランスはライフステージによって少しずつ変化していくと思いますが、この3つの要素はずっと持ち続けていたいと思います。

これまでの人生を振り返ってみて、困難はありましたか?また、どうやってその困難を乗り越えられましたか?

企画書を何度書いてもダメだしされたり、社内外の調整に苦労したり、実力以上の難しい仕事を任されたり・・・。種類は様々ですが仕事は困難の連続です。頑張って乗り越えたと思っても、いつしか次の困難が必ず現れます。何度か繰り返すうちに、仕事とはそんなものだと気付きました。岩だらけの急斜面を登っているときは、目の前の岩しか見えなくてとても辛いけれど、無我夢中で手足を動かしているうちにいつの間にか急斜面は終わり、素敵な眺めと少し成長した自分を実感できます。
とはいえ、やみくもに努力しても仕方ありません。例えば「企画書ダメだし期」には、会社の研修でロジカルシンキングを学び、実践してみるとスムーズに企画が通るようになりました。適切な武器を持つことも重要で、そのためには「学び直し」も必要だと思います。

SDGsに興味をもったきっかけは?

子どもが生まれてから、未来の世代にどんな地球環境や社会、経済を残すかという視点で考えるようになりました。「SDGs」には17の目標と169ものターゲットがあるので、自分が日常的に取り組める課題がひとつは見つかると思います。例えば、息子はコーラが大好きなのですが、ペットボトルとアルミ缶のどちらがより環境にやさしいか一緒に調べたうえで、なるべくアルミ缶を購入し、飲んだ後は缶をリサイクルに出しています。

ご自身のお仕事や生活の中でSDGsをどのようにとらえていますか?

鉄道会社の事業はお客さまの生活に密着しており、その事業活動はSDGsの17の目標のいずれかに直結しています。ブランドスローガンにも謳っているように、ひと、まち暮らしに「‘なんかいいね’があふれてる」、活気に満ちた、明るいサステナブルな社会を実現することで、SDGsに貢献していきたいです。

大阪・関西の女性がキラリ輝くために、何が必要と思いますか?

人に頼ることを恐れないで欲しいですね。
女性は一人で抱え込みすぎたり、他人に迷惑をかけるのではないかと遠慮したりしがちではないでしょうか。「今、こんなことに困ってるんだけど…」「ちょっと助けて!」と周囲の人に頼ってみてください。きっとみんな快く助けてくれると思います。特に私たち先輩女性は、頼られると嬉しいですし、後輩たちにキラキラ輝いてもらいたいと思っているので、頼られれば助けますし、いつでも応援しています!

さいごに、大阪・関西の女性にメッセージをお願いいたします。

大阪・関西の女性のネットワーク力はすごいと思います。
わたしも、サクヤヒメの受賞をきっかけに、たくさんのつながりが出来、みなさんのパワーに刺激を受け、世界がどんどん広がっていくのを感じています。このようなネットワークを生かして、2025年の関西万博、2030年のSDGsゴールに向けて、関西の女性から大きなうねりが生まれるといいなと思っています。

ありがとうございました。

(取材:2022年01月/所属・役職名等は取材時のものです)

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