No.34 人生をおえるその瞬間まで、分かち合う人たちと共に楽しくお花に携わっていたい|特定非営利活動法人 女性と仕事研究所

SDGsでキラリ輝く大阪をつくる女性たち

No.34 人生をおえるその瞬間まで、分かち合う人たちと共に楽しくお花に携わっていたい

2022年02月28日

坂本 祐子(さかもと ゆうこ)さん
フラワーアンドグリーンプランニング代表(第5回大阪サクヤヒメ表彰活躍賞)                     

株式会社パリージャン代表取締役

1994年から
フラワーアーティスト花太郎こと保坂桂一を師事
商業施設の季節装飾や雑誌、NHK-TVプログラム、ファッションショー、博覧会会場やパビリオンなど
約10年間様々なフラワーディスプレイの現場経験を積む。同時期に複業で広告制作会社にてイベントや広報の仕事に携わる
2004年フラワーアンドグリーンプランニングを設立                                               商業施設・企業のフラワーディスプレイの企画・製作を行う
2014年
あべのハルカスのオープニングセレモニー「日本一長い街つなぎテープカット」のフラワープロデュースを担当
地下から地上300mの展望台、周辺施設の会場のフラワー装飾を約90人のスタッフと共に行った                  同年フラワー&ライフスタイリング『ジャングルスペース』の活動を開始
グランフロント大阪ナレッジキャピタル内企業のライフスタイルに関するワークショップの企画、商品開発を6年間担当
2018年テレワーク導入やスタッフのキャリアアップなど事務所の働き方改革の取り組みを開始
2018年から大阪芸術大学 芸術計画学科 特別講義講師
2020年大阪商工会議所主催大阪サクヤヒメ表彰 活躍賞受賞


現在のお仕事の内容をお聞かせください。

花や植物で空間を飾ることを専門にした事務所の運営しています。                                     商業施設・企業のフラワーディスプレイの製作管理を担当しています。2014年からは大きな空間を飾ることだけではなく、お家の中での季節のしつらえやテーブルコーディネート、ライフスタイリングイベントを担当させて頂くようになりました。
暮らしの中での花の表現方法や植物が人に与える効果、過去と最新の事例を学びながら、商品開発や、セミナー、イベントの企画に取り組んでいます。

お仕事以外で、何か活動(趣味、地域活動など)をしていらっしゃいますか?

2014年から6年間、日本に自生している山野草を扱う仕事を担当したのがきっかけで、日本各地に受け継がれてきた植物を暮らしに活用する知恵に興味をもちました。飾るお花ではない雑草とよばれている植物の価値を知り魅せられて、自分が今までみていた景色が一変しました。自分に無理のない範囲で何か出来ないかなと思い、2017年から淀川アーバンキャンプというイベントに出店し、淀川に自生している野草の観察会や摘み菜のイベントを続けています。

また、事務所では小売をしていませんが、田辺のお不動さんの愛称で親しまれる地元の法楽寺さんで、年に3回フラワーマーケットを出店しています。お寺には沢山の人が来られるので地元の方と交流する良い機会を頂いていて、気がつけばもう12年になりました。

これまでの人生を振り返ってみて、困難はありましたか?また、どうやってその困難を乗り越えられましたか?

父が病気で亡くなり、突然父の会社を引き継ぐことになりました。自分の仕事に費やせる時間が大きく削られて、その年、創業して初めて赤字をだしてしまいました。慣れない日々のタスクと自分の仕事の両方に追われて、心の余裕が持てませんでした。ようやく心の余裕をとりもどせた頃に、同じような混乱を今後起こしたくないと思って、必要な取り組み始めました。日々の業務と平行してなので、少しずつしか歩みは進められません。なかなか現状を変えられないことへの苛立ちや途方なさに、時々疲れてしまうこともありました。

千里の道も一歩から、何もしなかったら何も変えることは出来ない、いつか終わりはやってくる、と毎回自分に言い聞かせていました。そうやって時間はかかりましたが、ひとつひとつを解決できたことで、何か困難に直面しても、ゆっくりでもいいんだ、続けることが大事なんだ、と思えるようになりました。

SDGsに興味をもったきっかけは?

スタッフの出産やお子さんの受験、ご両親の介護などライフステージの変化で、それまでのように働くことが難しくなったり、一時的にお休みが必要になったりする機会に直面した時に、無理なく続けられる道をみんなで考えていこうと取り組みを始めたのがきっかけでした。テレワークやキャリアアップ応援する制度などを導入したり活用するようにしました。

明日、誰かのライフスタイルで何か変化があってもみんなで支え合い助けあい、楽しく仕事が出来る環境を維持していけるように日々取り組んでいます。また第5回大阪サクヤヒメ表彰 大賞を受賞された高橋弘枝さんの授賞式でのスピーチを聞いたことは、自分に変化をもたらしました。少し広い視野でSDGsについて考えるようになり、近い未来に大阪にも起こる課題を知って「自分に出来ることはなんだろうか?」と考えるきっかけを頂きました。

ご自身のお仕事や生活の中でSDGsをどのようにとらえていますか?

働き方の改革に取り組みを始めた2018年頃、事務所のあり方を見つめ直す機会をもちました。17年続けてきて仕事の幅は広がっていましたが、限られた時間を大切に生きよう、我々の仕事を尊重する人ともっと仕事をしよう、無理なく働き続けられる環境つくろうという想いから、仕事の範囲をしぼりました。もしかしたらそれで仕事を失ってしまうかも知れないし、売上が大きく落ちてしまうかも知れないという恐怖を感じましたが、人生を長い目でみれば今この選択は必要だと思いました。結果としては翌年の売上はあがりましたが、その後コロナの影響を多くのサービス業はうけていて、今もその状況は続いています。

時間はかかるかも知れませんが、変化し続ける歩みをとめないこと。一人だと挫けてしまうかも知れませんが、共に歩む仲間がいて、過程を楽しみながら共に分かち合うことで、続けていけるのではないかなと思います。

大阪・関西の女性がキラリ輝くために、何が必要と思いますか?

私は2004年に個人事業主で事務所を設立しました。私が創業した頃に比べると現在の大阪は、女性の創業支援の情報が手に入り易いと思います。ビジネスに必要なアプリやソフトも沢山あって、事業を始め易くなりました。それを継続していくことを考えると、何か問題に直面した時に相談できる先を持っていることは必要です。私も商工会議所などの中小企業支援機関に大変お世話になりましたし、今も活用させて頂いています。個人で事業を続けていると、客観的に自分の事業をみることや時代の変化にあわせた投資が定期的に必要になります。資本力がない小規模であっても色々と活用出来ることを知ることで事業を続けられていると感じます。縁尋機妙 多逢聖因(えんじんきみょう たほうしょういん)という言葉を教えて頂いたのですが、いい縁がつながり、いい人に出会うことでさらにいい縁に恵まれるという意味です。長く自分らしく仕事を続けていくためには、いいものを知ったり、触れたり、いい場所や書物、情報、人との出会いを大切にすることが大事だと考えます。

大阪サクヤヒメ表彰への参加で、大阪の様々な素晴らしい女性リーダーの活躍を知ることが出来ました。視野が広がるきっかけを頂いたと感じます。現在もまだリアルな繋がりが希薄になりがちな状況は続いていますが、日常のささいな出会いや縁を大切に積み重ねることからでも、きらりと輝く明日に繋がるのではないかと思います。

さいごに、大阪・関西の女性にメッセージをお願いいたします。

今、世の中は大きい局面を迎えていて、今までの常識は常識ではなくなり、何が正解なのかは、自分達で見つけていく、そんな状況です。
既成概念を取り払った働き方がどんどん生まれてくるかもしれません。
自分のペースで自分のやり方で出来ることから行動していきましょう。                                   互いを大切にできる働き方や生き方が尊重される大阪の未来を分かち合えると素敵だな思います。

ありがとうございました。

(取材:2022年02月/所属・役職名等は取材時のものです)

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