月単位のアーカイブ: 4月 2007

明日(4/25)午後5時15分よりNHKに出演します。

明日、4月25日、午後5時15分よりNHK総合(関西)の
「もっともっと関西」に出演いたします。よろしくお願いします。

エジプトとベールの女性

ハムシーン(砂嵐)と大雨のカイロ

カイロ、アレクサンドリア、ルクソールを歩きました。エジプトは砂漠の国。特に4月は雨が全くなく砂嵐(ハムシーン)が視界を遮る季節だというのに、2日間スコールのようなまとまった雨が降りました。傘というものを持たない人たちは、びしょぬれのベールで道路に押し寄せた泥水をかぶってびっくり。これは異常気象かなといっていました。

エジプトがイスラム教徒の支配になったのは、ピラミッドやクレオパトラに代表されるファラオの時代が過ぎて7世紀ぐらいからです。女性のベールもそれ以降の話。ベールはイスラムの地域によってさまざまな呼び方があり、ヒジャーブ、タルハ、マンディール、ミヤーラ、チャドルなど。なかでもアフガニスタンのタリバンが強制したブルカは、他に比べて、全身を纏う極めて特異で非現実的なものです。この延長に女性は教育を受けない、職業を持たない、男性の所有物になるしか生きる道がないという女性の扱われ方が露わになってきます。

ムハンマド氏と医学生の妻

ガイドのムハンマド氏は32歳。敬虔なムスリム男性。名門カイロ大学を卒業後日本に留学し修士号をとる。日本は食べ物も住まいも高いので、様々なアルバイトに明け暮れ、「ここが変だよ、日本人」という番組にレギュラー出演していた。帰国後日本人観光ガイドとして成功している。1日5回のお祈りは欠かさない。レストランに到着するや片隅で「ちょっとお祈りを」、「今からお祈りです」といった調子。街にはコーランの響きが途絶えることがない。彼にはもうすぐ娘が生まれる。名前までもうつけていて「HANAちゃん」。妻は「SALA」。妻はカイロ大学の医学部の5年生。「母親は目だけ残して全てをすっぽりかぶるベールが当たり前でした。でも妻は様々な色のスカーフをおしゃれにつけているという感じです」。「若者は親との同居ではなく二人でと思いますが、とても家は持てません。だから同棲後、親に反対され女性を捨てるとケースも多いのです」。「イラク戦争から、ムスリムの男性には外国への入国がとても厳しく、出稼ぎができなくなりました。若い男性の半分ぐらいは失業しています。こんなに優れた古代文明をもち、こんなにおいしい食べ物があるのに、みんなが貧しいのです」といいながら、とうもろこしジュースをごちそうしてくれた。ホントにスキッとした甘さだった。

イスラムとベール

このベール、ペルシャ語の意味は「カーテン」。男女を隔てるものであり、女性性を隠すものです。ベールをかぶるのは、女性が家の外では自分の魅力(性的)を人に見せるべきではなく、それは家族を大切にすることの表れだと説明されます。この「人」の目というのも、男性の目ということです。これでは男性はありのままの女性を見ないことになります。さらにこの服装でスポーツはまず無理です。スポーツの楽しみを女性は味わえないのです。ベールは古くて、今なお続く女性問題です。

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(1) クフ王(左)とカフラー王のピラミッド ギザのホテルから

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(2)カイロ大学文学部正門前で ベールの女性たち(黒ずくめの女性はこちらを向いているのだが、よく見ないとわからない)

関西大学社会学部教授の石元清英氏のアメリカ便り

金谷千慧子様

3月31日に帰国します。
日本の話題に関してアメリカ側の反響を少し書いてみます。

従軍慰安婦問題

従軍慰安婦について日本政府に謝罪を求める米下院外交委員会の決議案に対する日本政府の反応に関して、こちらのメディアは比較的大きく取り上げています。

先月には外交委員会で、元慰安婦の2人の韓国人女性と1人のオランダ人女性が証人として登場し、強制的に慰安婦にされたことを述べました。アメリカの公的な場所での元慰安婦の証言は、今回が初めてで、メディアの扱いは大きかったです。安倍首相は、慰安婦の強制的動員に旧日本軍の関与を裏付ける具体的証拠はないと言っていますが、このことはニューヨーク・タイムズの1面で報じられました。また、同紙は社説でも、安倍首相の発言を「真実をねじ曲げる試み」と、強く批判しています。当たり前のことですが、従軍慰安婦について、旧日本軍の関与を認めた「河野洋平官房長官談話」(1993年)を安倍首相は基本的に継承すると言っておきながら、下院の決議案が可決されても謝罪はしない、従軍慰安婦の強制的動員について旧日本軍の関与を示す証拠はない、従軍慰安婦については政府と自民党で再調査をするなどという発言を続けるわけですから、信じられない態度としか見えません。

ロサンゼルス・タイムズは、対アジア関係を台無しにしている安倍首相では、ラチが開かないので、天皇が謝罪するのがいいとまで社説で言っています。元慰安婦だった女性が自分たちは旧日本軍によって強制的に慰安婦にされたと証言している以上、旧日本軍の慰安婦強制動員関与の具体的な証拠(たぶん公的文書のことでしょう)がみつからないので、旧日本軍による強制動員はなかったという主張が、まったく説得力のないものであることは、私の子ども(10歳になりました)でもわかります。日本政府は、元慰安婦の証言がウソであることを具体的な資料や証言で立証できていないわけですから(立証などできないと思いますが)、大半のアメリカ人は、旧日本軍の強制的な慰安婦動員の明白な事実があるのに、日本政府はそれを無視して、謝罪などしないと言い張っているとしか見ていないでしょう。これでは、日本政府は北朝鮮と並ぶ「悪の枢軸」になってしまいます。本当に日本人として恥ずかしいことです。

こちらに来て、韓国人や中国人の友人ができました。アメリカ人を含め、彼らは従軍慰安婦問題について、私に何も言いませんが、私は、目を覆いたくなるような日本政府の姿勢をたいへん情けなく思います。アメリカの(米国だけではなく、韓国や中国、台湾などのアジア諸国も同様でしょうが)在留邦人にこんな情けない思いをさせる日本は、安倍首相のいう美しい国なのでしょうか。

今回の下院の決議案を提案において中心的な役割を果たしているのがマイク・ホンダ下院議員です。ホンダ氏はカリフォルニア州サンノゼ市選出の日系3世で、太平洋戦争中、強制収容所に入れられた経験をもっています。ホンダ氏は、今回の決議案を提出したのは日本によくなってもらいたいからだと言っています。つまり、今回の決議案を日本政府が無視するようなことになると、日本は本当によくない国になってしまうと、彼は思っているのです。日本のインターネットでは、ホンダ氏が韓国系アメリカ人が多いサンノゼの選出なので、韓国の意向に沿った行動をしているなどという、的外れな「論評」が見られますが、サンノゼに韓国系アメリカ人が多いといっても5~8%ほどだと思います(サンノゼ市のアジア系アメリカ人の比率が20%、全米のアジア系アメリカ人に占める韓国系アメリカ人の比率は10.7%ですので、とくにサンノゼに韓国系アメリカ人が多いといってもサンノゼの人口の10%を上回ることはないはずです。

ちなみに、1960年ごろまでアジア系アメリカ人のトップの比率を占めていた日系アメリカ人は、現在、6位、アジア系アメリカ人に占める比率は8.0%です。なお、サンノゼには日系アメリカ人も多く、ミカサという日本食品スーパーがあり、そこに行った人によると、日本の大型スーパーそのままで、何でも手に入るということです。長崎ちゃんぽんのチェーン店であるリンガー・ハットのアメリカ1号店もあります)。昨年の夏に金谷さんの研究所を訪れたイサオ・フジモト先生(カリフォルニア大学デービス校アジア系アメリカ人研究学科創設の中心人物)は、1950年代後半、サンノゼで高校教師をしていたのですが、そのときの教え子がマイク・ホンダ氏で、フジモト先生はマイク・ホンダ氏は日本がよりよい国になることを真剣に考えている人物だと言っています。日本では、日系人であるホンダ氏が余計なことをしていると、ホンダ氏批判があるようですが、とんでもない思い違いです。

日本のYahooで、「従軍慰安婦」を検索すると、1,390,000件もヒットしますが、その大半は、慰安婦の強制連行などなく、慰安婦は裕福だったなどという、「新しい歴史教科書をつくる会」の主張と同じ内容のものばかりです。そして、そのネタは、産経新聞(とくに「産経抄」)や週刊新潮(ニセ特派員・ヤンデンマンがいなくなったと思ったら、帝京大学教授の「変見自在」が根も葉もないことを言っています)で、それらの孫引き、ひ孫引きが目立ちます。そして、ウィキペディアからの引用や他のサイトからの拝借も多く、自分で1次資料に当たったというものは、皆無に近いです。歴史を直視しようとしないサイトがまったく同様の主張のサイトを次から次に生み出しているようです(なかでも、「国際派日本人養成講座」の影響力は大きいように思えます)。「戦前の日本は悪くなかった」という主張が今の日本で広汎に(とくに、ネット世代に)受け入れられるのか、検証しなくてはなりません。

また、マイク・ホンダ氏を北朝鮮に操られている人物だとか、中国の手先だとか、ホンダ氏は第2次大戦中に強制収容所には入ってなどいなかったなど、ホンダ氏を中傷するサイトも多く見られます。どうして海外からの日本批判に謙虚に耳を傾けることができないのでしょうか。日本のテレビニュースでは、マイク・ホンダ氏へのインタビューで、「どうして日本人にしか見えない容姿のあなたが日本批判をするのか」と言ったキャスターがいたとか、日本は70年ほど前に逆戻りしたのでしょうか。

米下院外交員会の決議案については、前回も同様の決議案が提案されたのですが(ただ、今回は前回よりも日本政府に本格的な謝罪を要求している点が違います)、元共和党下院院内総務のボブ・マイケル氏を日本政府が雇い、廃案にしたのですが、今回は、安倍首相の言動に共和党議員からも批判が出ているようで、共和党は決議案への反対を共和党議員に働きかけることに積極的ではないようです。下院では民主党が多数派を占めていますし、議長が前回の決議案にも賛成したペロシ氏ですので、可決されることは間違いないと思います。なんら拘束力のない決議案ですが、この決議の可決で、日本政府は目を覚ますべきです(まったく期待はできませんが)。

それから、もうひとつ。

3月13日付「サンフランシスコ・クロニクル」紙によると、従軍慰安婦の強制的な動員を示す証拠はないと語った安倍晋三首相は、元外務大臣の息子で、元首相の岸信介の孫だと紹介していましたが(安倍晋太郎の名前は出ていませんでした)、その岸信介について、第2次世界大戦の戦犯として服役したと書いてありました。たしか岸信介はA級戦犯として逮捕されましたが、不起訴になったはずです(有罪判決を受けて当然な人物でしたから、これでいいのかもしれません)。祖父がどういう人物であれ、孫にはなんら関係ないことは、言うまでもありませんが、安倍首相は祖父・岸信介を尊敬しているなどと言っているわけですから、服役した戦犯の孫だとアメリカで思われても仕方がない。ここまで言うと、言いすぎでしょうか。

イラク反戦デモ

それから、もうひとつ。 こちらでは、イラク反戦運動が盛り上がっています。各地でデモが行われています。デービス校の学内でも学生たちの集会がよく開かれています。次の日曜日も、サンフランシスコで反戦デモがいくつか行われます。イラク派兵を拒否し、軍法会議にかけられたアーレン・ワタダ中尉(彼は日系アメリカ人です)を支持する団体のデモ、そして、大学研究者のデモ(デービス校からもバスが出ます)などです。1960年代末ほどではないにしても、今のアメリカは政府に対する抗議運動が高揚しています。大統領選挙も動き出しましたし、今のアメリカはおもしろいです。
ではまた4月に。

東京事務所最後の日 (2007年3月30日)

3月30日(金)は、女性と仕事研究所東京事務所の最後の日でした。そして「みなとNPOハウス」のお別れパーティの日でもありました。一方でこの日、新しい名所になるだろう「東京ミッドタウン」(防衛庁跡・近接)が開幕し六本木の交差点からずっと人の波が続きました(17万人とのこと)。

4Fの女性と仕事研究所から書類棚等を乗せて、2トントラックが大阪事務所へと満開の桜の校庭を出たあと、パーティが始まりました。「残念です」「しかしこれからが新しいスタートです」などと心残りの発言が多かったです。

私は、若い編集委員にまじって『はばたけ、NPO-みなとNPOハウス活動報告書』を約半年かかってつくってきました。実際にはたいして手伝えなかったのですが、斬新な表紙のこの記録集は、5年間にわたる揺籃期のNPO30団体の喜びと苦しみをぎっしりと詰め込んだものです。「色んなことを思い出して…」と涙ぐむひともありました。

金谷千慧子の文章では、目次の第1部で「NPOと企業の協働」、第2部で「男女共同参画とNPO」「就業支援とNPO-キャリア支援とNPOの社会的役割(キャリアナビしぶやゆかりさんとの対談」が入っています。NPOの専門家からの論述もあります。

ご希望の方は、先着60名様に限りまして、3月30日にできあがりました『はばたけ、NPO-みなとNPOハウス活動報告書』(B5版84頁)を郵送手数料500円でお送りします。メールでお申し込みください。
(郵便番号 住所 名前 TEL, URL, E-mailアドレスをお書きの上、Email- info@women-work.org へお申し込みください。発送時に郵便振替用紙を同封させていただきます)。

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(1)桜満開(背後ビルは東京ミッドタウン)

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(2) 桜の下でお弁当

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(3)お別れパーティで編集仲間と

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(4) 「はばたけNPO-みなとNPOハウス活動報告書」

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