関西の企業で働く「キャリア女性インタビューNO.6」~関西ウーマン同時公開!~

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山﨑 由貴子さん
阪神電気鉄道株式会社経営企画室 沿線活性化担当 課長
1998年大阪大学法学部卒業後、阪神電気鉄道(株)入社。入社後、不動産部門に所属し、3年間住宅部門で企画や販売営業を経験した後、商業施設の運営管理業務に従事。ハービスPLAZA ENTやNU茶屋町プラスなどの新規商業施設の開業などを担当。2015年より現部署に異動し、阪神電車の沿線活性化に取り組んでいる。


阪神電気鉄道株式会社 http://www.hanshin.co.jp/
HANSHIN女性応援プロジェクト http://www.hanshin.co.jp/woman/

現在のお仕事内容について教えてください。
阪神電車の沿線活性化を担当しています。沿線活性化は、沿線における定住人口・交流人口の増加を目指す活動で、特に当社沿線で「住みやすさ」「心地よさ」「知縁」を感じて頂けるよう取り組んでいます。私が担当する具体的な業務としては、「HANSHIN女性応援プロジェクト」(女性が暮らしやすく働きやすい沿線づくり)などを行っています。
入社された動機は?
家庭を持ってもできる限り長く働きたいと考えていましたので、転勤がなく、かつ男女の区別なく総合職として働けるという基準で、地元に役立つ仕事、鉄道会社や電力などインフラ関連の企業を希望していました。中でも阪神電鉄は、社員の方々が温かくて真面目な雰囲気の方が多く、自分に合うなと感じたので入社しました。
現在担当されている「HANSHIN女性応援プロジェクト」とは?
当社では阪神沿線の定住施策に取り組んでいまして、女性が暮らしやすく働きやすい沿線づくりの一環としてこのプロジェクトが始まりました。女性が働いて活躍する中で、どんなことに困っているかという調査をした結果、育児と家事の負担という回答が多く、会社として何か取組めないかというところから、現在、他社事業ですが、「家事代行サービス」、「子育てシェアサービス」の普及をPRしています。

阪神電車というと、どうしてもタイガースのファンがいっぱいというステレオタイプのイメージを持っている方がすごく多いですが(笑)阪神沿線は今新しい住宅がどんどん建ち、新しい方、特にニューファミリーが増えてきています。どちらかというと、夫婦ともに働いて、家事も育児も分担するライフスタイルをするには、阪神間ってとても便利なんですね。三宮へも梅田へも行けますし、阪神なんば線を使えば大阪難波駅にも直通なので、足周りも良くて働きやすい。

医療機関やお買い物施設などの利便施設も多いですし、文化や教育施策にも力を入れている自治体が多く、住環境に求められる条件がバランス良く整っているため、阪神間は「住みたい街」として人気が高い地域です。

今後はさらに、女性の方たちが阪神沿線のファンになっていただき、「阪神沿線って住みやすいね」と思っていただけるような情報発信ができるような企画も考えています。

山崎さんが育児休暇から復帰された頃、まだ時短勤務の制度が無かったそうですね。
時短勤務はまだ法整備のとして無い時代でしたが、あっても使わなかったと思います。前にいた現場は、毎日午後8~9時くらいまでみんな普通に仕事をしていましたので、自分だけ早く帰って、他の人に仕事を任せるということは、他のメンバーに迷惑をかけることになりますから、思いつきませんでした。私の母は父の介護をしていましたし、夫の母も早くに亡くなっていましたので、まず親は頼れない。当時からチームリーダー的な立場だったので、部下に任せられない仕事もあります。そのタイミングで子どもを産むことは自分が選んだのですから、仕事と子育てを完全にカバーできる認可外の保育所を最初から抑えていました。朝は夫が子どもを保育園に送り、お迎えは私と夫で分担していますが、2歳くらいまでは毎日夜10時くらいまで預けていましたね。
家事の役割分担は決めておられたのですか?
結婚するときに私が求めたことですが、家事に関しては一切、夫に担当を持たせていませんでした。役割分担を決めて、相手がやらないからとヤキモキするのはイヤなので、「あなたは家事をしなくていい。その代わり、私が忙しくて洗濯物が山になっていても、家の中がちらかっていても、文句は言わないでね」という約束になっています。なので、家事に関して文句を言われたことはありません。夫の役割は「文句を言わないこと」ですね(笑)

私は手抜きできるところ、効率化できるところは全部使おうという考えですが、家事を手抜きしたくない、子どもには全部手作りの食事を作らないといけないと考える方もいらっしゃると思います。でもそれには絶対的な時間が必要になる。キャリアと両方の時間をどう捻出するかを考えると、やはり疲れてしまって仕事を辞めることが一番良くないと思うんです。

全部手作りの食事じゃなくても、お惣菜を買ってきて、お皿に入れてキレイに盛って品目を多くするといった工夫もできますし、お掃除は家事代行に頼むこともできます。自分の中で譲れるところと譲れないところを決めて、すべてを求めないことですね。

昨年(2015年)「資生堂ショック」が話題になりましたが、女性が働きやすい制度について、どのように感じておられますか?
※資生堂ショック:時短勤務のワーキングマザーにも一般社員と平等な勤務シフトやノルマを課すという、株式会社資生堂の勤務制度改革
あの「資生堂ショック」は当然あるべき流れではないかと思っています。今は生き方が多様化してきていますから、育児休暇や時短勤務などの制度をめいっぱい使おうとすると、子どもがいない女性や男性に負荷がかかる。それはやはり不公平だと思います。これは私の自論ですが、育児のために時短勤務するけれども男性と同じキャリアも欲しいということは、ちょっと望みすぎだと思いますし、よほどのスーパーウーマンでない限り、残業もできる男性と同一の成果は上げられないと思います。正当な評価のためには、理想論ではありますが、定時労働を徹底するなど男女を問わず労働条件を同一にするべきだと思います。

家庭を持ちながら働いて、子どもを産んでという、フルセット揃えるのが素晴らしいように言われていますが、国としてはそう考えているかもしれませんが、個人がどれを選ぶかはその人の価値感だと思っています。

当社は制度としては整えていますが、選択は本人に委ねられています。制度をしっかり利用して、家庭を大事にしたいという方もいますし、時短を取らずキャリアを積んでいきたい人もいますので、キャリアを優先するか家庭を優先するかはその人の価値判断なので、どちらを押し付けるものでもないと私個人は思います。

これまでに「壁」を感じられたことはありますか?
もともとポジティブなタイプなので、職場や業務の環境面で壁を感じたことはありませんが、管理職になり、部下を率いて育てる立場になったときは、もどかしさも含め壁を感じるようになりました。自分がプレーヤーとして動いている時は、いくらでも遅くまで残ってがむしゃらにやれば仕事の成果はついてきましたが、チームリーダーとなると、自分がやったほうが早いことでも、人を育てるために任せなければいけなかったり。またその人ができないとなれば、どこまで助けながら仕事全体としてスピーディに進めていくかという、管理職として求められる能力って違うんだなと、若い頃は自分の無力を感じました。

仕事で大失敗をした時はもう、会社のトイレに篭って泣いたこともありますし、ストレスで不整脈が出たこともあります。でも今思えば、「そんな些細なことでストレスを感じてたのか」と思うほど、まだ社会経験も浅くて根性も無くて、ひよっこだったなと思いますね。

子会社で課長補佐になったときは、ストレスと肉体的疲労が重なり、円形脱毛症になったこともありますが、管理職になる女性はみな、多かれ少なかれ一度はそういう経験はありますし、管理職になってからも、そういうタイミングは来るんじゃないかと思います。

どのように乗り越えられましたか?
とにかく前向きに善処してみて、その結果、改善できなかったとしても、どうしようもないことは受け入れて、長い目で取り組む気持ちを持つことが大事だと感じました。自分が弱い頃を振り返ってみれば、ほんとに直近のことしか見えてなくて、めげてしまっていたと思うんです。その頃の自分に言えるとすれば、「目の前のしんどいことばかり見ずに、もっと長い目で見て気を楽にしたほうがいい。10年たてば、そんなことは些細なこと」と言いたいですね。仕事も子育ても、100%しんどいと思ってしまったら、辞めたいという結論になってしまう方も多いと思いますが、私は会社を辞めたいと思ったことは一度も無いです。「5年後、10年後、15年後の自分を見れば、今自分が当たっている壁なんて、実は小さなことなんだ」という気持ちで乗越えてきたと思います。
働く女性に向けてメッセージをいただけますか。
働くことが楽でないのは男性も女性も一緒ですが、正直なところ、家庭を持つと女性の負担が重くなることは避けられないと思います。すべてをパーフェクトにこなすことはできません。自分なりの優先順位を考えたうえで、できる限り効率化することが大事だと思います。仕事がすべてではありませんが、経済的な要素だけでなく、自己実現の場を持てるという意味で、働くことは確実に人生のプラスになると私は思っています。目先のしんどさにめげそうになることもあるかと思いますが、遠い将来、これまでの苦労が報われるときが来る。そう信じて働き続けてほしいと思います。
山崎さん個人としての今後の展望は?
出産以降、仕事や家事、子育てにフル回転で過ごしてきて、気が付けば管理職になり、子供も手がかからなくなってきました。時間の制約が少なくなったことを活かして、この10年ほど出来ていなかった自己研鑽や人脈づくりに励みたいと思っています。公私ともに娘に憧れてもらえる女性になりたいと思っています。
ありがとうございました。

(取材:2015年12月/所属・役職名等は取材時のものです)

 

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interviewer
諸田 智美
特定非営利活動法人 女性と仕事研究所 代表理事
佐賀大学卒業後、1987年大手SI会社に入社。SEとして金融情報系システムプロジェクトに従事。退職後、キャリアチェンジにより、マンションリフォーム企画営業を6年、パソコンスクール責任者を6年経験。2006年1月㈱ネットラーニング入社後、2009年11月グループ会社㈱wiwiwへ。2014年4月まで、カスタマーセンター長として大規模セミナー企画・運営、広報等を担当。2014年2月に「男女ともにキャリアと育児の両立を実現するためのシンポジウム」を企画・運営。大阪では、2013年11月に第4回女性活躍推進フォーラムの企画・運営を担当。2014年5月から現職。
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