フェミニン・リーダーシップの今後
=男性中心社会で女性が成功する方法=
1 女性の能力を、生かさない企業も個人も、今後の繁栄は期し難いマリリン・ローデン著/山崎武也訳「フェミニン・リーダーシップ−男性中心社会で女性が成功する方法」
を読んだのは、1987年の出版から10年も経ていたのでした。
著者のマリリン・ローデンはニューヨークを本拠に活躍しているコンサルタントで
女性特有の感受性を充分に利用して、研究、インタビュー、直接観察等をした結果をこの本にまとめられたのです。
そして山崎氏は
「女性の能力を、女性本来の姿に従ってフルに生かしていない場合は、企業も個人も、今後の繁栄は期し難いと断言できる」
(訳者まえがき)と信じて翻訳に踏み切られたのです。
「女性は男性社会に迎合することなく、女性のままで企業のリーダーになっていったらいいのだ」
という考え方を、均等法制定当時に日本に導入しようとされた山崎武也氏の見識の高さに敬服すると同時に
アメリカのビジネス社会が女性の登用・昇進をいかに進めているのかも実感しました。
本書が出版された当時、アメリカの企業で働いている女性は45%を占めていましたが
現在では、管理職の比率が45%になっています(ILO調査)。
日本の場合には、女性の労働力率は1999年で40%ですが、管理職比率では3%でしかないのです。
2000年というミレニアムに、われわれは45%と3%の違いのなかで
21世紀の日本の女性の登用・昇進を展望せざるを得ないことになったのです。
そのとき、本書は私たちのバイブルになると信じています。
ところが、本書は現在絶版の状態で手に入りません。
とても残念なことなので、山崎武也さんに再版販、あるいは、新たに出版していただくことをお願いしている状態です。2 新しい発想で、女性本来の姿を生かす
「女性的(フェミニン)リーダーシップ」という言葉は
1980年代からアメリカのビジネス界で女性の管理職が大幅な増加したことに伴い使われ始めた言葉です。
これは、女性管理職は、性役割としての「女性性」を使うという意味ではなく
従来の男性が中心になっている企業社会での、偏向性をもう少し是正しようという趣旨でいわれています。
男性中心主義の企業は、根底に競争概念があり、絶え間なき競争的闘争で勝者と敗者しか存在せず
最大の目標は勝つこととされます。これは軍隊の価値・目標に極似する。
男性のリーダーシップ方式では、仕事のやり方は「競争的」であり、組織構造は「階層制」、根本目的は「勝利」
問題解決方法は「理性的」「戦略的」「非感情的」「分析的」ということになります。
このような企業世界に女性が管理職として入っても、女性が男性化するにすぎません。
そうではなくアメリカ企業が活性化するには、経営能力や技能の多くを女性から見つけ、会得しなければならないのです。
従来のやり方では、女性はマイナスの影響を被り、女性の管理職は企業の中で創造性が失われていきます。
そこで、新しい発想で、企業組織を活発にしていくために、従来見落としていたことを再検討するのです。
まず企業組織は、女性の採用を増やすことから始めねばなりません。そして業績評価システムを修正します。
たとえば人間関係の才能、効果的なチームワークをとれること
従来の殻を破ったような新しい問題解決アプローチができること
多岐にわたる複数の作業グループを公平かつ効率よく扱っていく能力などを正しく評価するのです。
さらに給料や昇進の不公平をなくすことでも重要です。
「同じ仕事に対しては同じ給与」という断固たる方針が貫かれねばなりません。
そして仕事の出来る女性をトップの地位にまで進ますということが、組織内の女性に最大の励ましになるのです。
男性は、女性と職業上の関係を築きあげる訓練が必要であり、現在の企業組織が大幅に変化することも含まれています。
3 もくじの紹介
現在、入手できない書籍の紹介なので、もくじだけを記載します。
第1部
女性管理職がアメリカのビジネスの成功と成長のためにできることを、新しい観点から探る。
フェミニン(女性的)リーダーシップは、今までの経営管理方式とはどう異なっているのか
生産性はどのように向上するか、従業員のモラールの向上にどう影響するか。
従来の管理的能力といわれてきたものでは女性の才能は生かされない。
感情表現、問題解決の際の直感力とか個人的関わりを重視するリーダーシップの新しい概念の提起。
1 過渡期にあるリーダーシップ/2 企業内の男性中心主義/
2 企業の危機的状況/4フェミニン(女性的)リーダーシップの台頭第2部
権力の行使は従来女性には不得意な分野だといわれてきた。
そこで女性はその能力を確保すべくさまざまな努力を重ねてきたが、これは不要な努力なのではないか。
権力とは「他の人に影響を与え、ものごとを動かし、個人の目標を達する能力」であると定義すると
権力には地位の力と個人の力の両側面がある。男性では地位の力を多く使う傾向があり
女性では、個人の力を多く使い、目的と目標をはっきりさせて、個人にやる気を起こさせ
一生懸命働かせる手法を多くとることができる。
5 権力の行使/6 仕事の基準設定とリスク/7 チームワークと参加式経営/
8 効果的な人間関係/9 コンフリクト・マネージメント /10 直感と問題解決/
11 多様性と複数の役割の管理/12 専門能力の開発 第3部
リーダーシップの質的変化を遂げるのには、30%という「臨界質量」が存在するといわれてきた。
これを過ぎると、女性の影響やそのリーダーシップ技能が組織の中で目につくようになるということをさす。
しかし、数の増加だけでは有効な効果が発揮できず、男性自身がこの新しいリーダーシップ方式を支持し
組織・経営行動の範囲を定義し直すためことが重要で、男性はすぐできることを実行することが必要である。
13 女性のできること/14 男性のできること/15 組織にできること/16 女性的リーダーリップの将来
(時の法令 2000.8.15 No.1623)
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